アクアリウム光量計算機(水草水槽用)
水草育成に重要な「光束」と「照度」
アクアリウムで使用する水草は種類によって必要とする光量が異なります。底床を匍匐するように成長する前景草が最も多くの光を必要とし、モスやミクロソリウムなどの陰性水草は比較的少ない光量でも育てることができます。
アクアリウムでは、水草にとって十分な明るさを発する照明器具であるかを判定する指標として「全光束(単位:ルーメン)」という値を利用します。これはライトが発する光エネルギーの総量のようなものと思っておけば良いでしょう。
全光束はライトの性能を表す指標で、水草にとって本当に重要なのは「照度(単位:ルクス)」です。照度とは、ざっくり言えばある場所に対してどのくらい光エネルギーが届くかを表す量で、以下のような特徴があります。
照度の特徴
- 照度=入射する光束÷面積
- 照度は光源からの距離の2乗に反比例する。
水草水槽用照明器具のスペック(必要光量)計算法
水草が育つのに必要な照度は、概ね種類によって決まっています。もちろん、水草の成長具合は光量だけでなく、水温やCO2の添加量など様々な要因の影響を受けますが、水槽のサイズが変わっても必要な照度は一定です。
従って、水草の種類と水槽のサイズが分かれば、ライトに求められる光束の量を計算することができ、それは水槽の底面積と高さの2乗に依存するはずです。
しかし実際には、ライトが発する光の全てが水槽底面を照らすわけではありませんし、ライト自体の大きさ・形状の影響も無視できないため、必要な光束と水槽サイズの関係はそこまでシンプルではありません。しかし、水槽の底面積と高さの2乗に依存するのは概ね正しいと考えられます。
この計算機では、アクアフォレストさんが公開している水槽サイズと必要なルーメン数の一覧表を参考に、水槽サイズとルーメン数の関係式を推定し、水槽のサイズを指定することで必要な光束を計算できるようにしています。参考にした一覧表は以下のとおりです。
水草の育成に必要なライトの光量(ルーメン数)
水槽サイズ(幅×奥行き×高さ) | 陰性水草メイン | 陽性水草メイン |
---|---|---|
30cm×20cm×25cm | 350lm | 700lm以上 |
45cm×30cm×30cm | 1000lm | 2000lm以上 |
60cm×30cm×36cm | 1500lm | 3000lm以上 |
90cm×45cm×45cm | 3000lm | 6000lm以上 |
120cm×45cm×45cm | 4000lm | 8000lm以上 |
120cm×45cm×60cm | 5500lm | 11000lm以上 |
参考までに、上記の表とこの計算機で利用している推定関数を以下のグラフに示します。概ね表に従った明るさが得られるようになっています。なお、この計算機では一覧表を参考に、陰性水草は陽性水草のなかでも特に高光量を必要とする前景草に対し50%の光量を必要とし、中景~後景及びその他の水草は前景草の75%の光量を必要とすると仮定しています。
また、ライトによってはスペックとしてルーメン数を公開していない商品も多くあります。この場合、光束の代わりに消費電力を参考にして水槽サイズに対して必要な光量を発しているか判断するのが一般です。
光束の代わりに消費電力でライトの性能を評価する方法
光束と消費電力は一般的に比例関係にあります。また水草水槽の世界では、前景草を育成する場合、水量1Lに対して2Wの光を発する蛍光灯が必要と言われてきました。これらの情報及び一般的な蛍光灯の効率を参考に、この計算機では1Wあたり55lmの光を発生できると仮定して、光束だけでなく消費電力でもアクアリウム用のライトを検索できるようにしました。
ただし、蛍光灯とLEDでは光の照射範囲が違います。アクアリウム用のLEDライトは120度程度の照射角の商品が多いのに対し、蛍光灯は全方位(360度)に光を放つため、同じ消費電力でも水草を植えている範囲に照射される光束の量は3分の1です。一方、この効率の悪さを改善するため、多くのアクアリウム用蛍光灯には反射板がついており、少しでも多くの光を水槽に当てられるよう工夫しています。
これらを踏まえ、同じ明るさを実現するために、蛍光灯はLEDの2.5倍の消費電力が必要と仮定して計算します。
計算結果はあくまで目安です。水草の育成具合は光量だけでなく、水温、pHなど他の様々な要因に依存します。この計算機で求められたライトを使うことで水草の育成を保証するものではありません。
この計算機で得られる結果は、アクアリウム界隈での経験則に若干の科学的根拠をあたえたものですが、計算結果は多分に経験則に依存しています。光学的に厳密な計算をしているわけではない点に注意してください。
光束や照度は人間の目に見える光を基準に計算されています。植物の育成に必要な波長を勘案したものではない点に注意してください。